事例から学ぶ工事費削減の成功ポイントVol.7(工事中に発注者の意向で設計変更したケース)
当社が過去800件以上の工事発注のコンサルティングにお取り組みさせていただき、様々な事例がありました。
それらの事例から学べる工事費削減のポイントをご紹介したいと思います。
事例(工事中に発注者の意向で設計変更したケース)
飲食店をフルリニューアルする改装工事の案件について、設計会社を決定する前から当社にて支援させていただきました。基本設計を行い図面類を作成した後、施工会社に相見積もりを実施し適正な工事費を取得し、無事に施工会社を選定し発注までいたることができました。しかし、当社から手が離れた工事期間中に発注者様の意向が変わり設計変更を行なってしまい、工事完了後に追加工事として本体工事の15%程もする金額を提示されてしまっていました。本来であれば発注者も設計変更があった都度、施工会社と協議を行ない金額の確認を取るべきでしたが、発注者と仲がいい施工会社であったため、おざなりで工事を進めてしまっていたようです。施工会社側としても、追加工事については自社で受注できる確率が高いため利益率を高く設定して見積を作成してくるのが一般的です。そのため、一度条件を取った後は設計内容をなるべく変更しないで済む様に、デザインや設計段階で十分な検討が必要となります。
この事例から学べる要因は3点あります。
設計段階で十二分に検討する
そもそも工事期間中に追加工事や設計変更をしなくても済む様に、デザイン会社や設計事務所と十分に検証・協議を重ねてプランニングをすることが重要です。発注者としてのデザインに期待したいことや工事終了後のオペレーションも含めて意向を伝える必要があります。その上でデザイン会社や設計事務所との専門的な意見と擦り合せることでより良いプランが生まれ、後々に設計を変更をする必要もなくなるでしょう。
協力会社とは適度な距離感を保つ
施工会社を決定した際には工事をしてもらえるパートナーとしての付き合いが始まります。ただ、その中でも適度な距離感は必要です。距離感が近すぎる(仲が良すぎる)ようだと、場合によっては遠慮して意見を言い難くなってしまいますし、ビジネスライクしすぎて距離が遠すぎてもお互いに牽制し合ってしまいます。「親しき仲にも礼儀あり」を踏まえながら良い関係性を保ちながら工事を進めていただきたいと思います。
金額の増減は随時実施する
工事中に「どうしても部材を変更したい」という発注者側の意向の変化に加えて、「壁を解体したら何かが埋まっていた」などの不測な事態は起こりえます。その様な中でも追加工事に関する内容や工事費用については後でまとめて確認するなど後回しにしない方が良いでしょう。価格の増減についてはその都度、書面を用いて協議をしていかなければ後々トラブルになってしまう原因になりかねません。
まとめ
施工会社は他社相見積もりなどの競争環境に置かれている状態では、大きく利益率を乗せようとすれば受注が計れないという懸念があるので、価格的にしっかりと煮詰めた上で価格提示してきます。しかし、一度施工会社として決定する、若しくは外部環境を鑑みても決まっている状況の中では安く請負う必要がありません。そのため、工事費を上乗せした金額で提案してくることが多いです。その様な事も踏まえて図面の作成や工事中の変更指示を行なう事をお勧めいたします。