事例から学ぶ工事費削減の成功ポイントVol.6(特定の協力会社のみと取引していたケース)
当社が過去800件以上の工事発注のコンサルティングにお取り組みさせていただき、様々な事例がありました。
それらの事例から学べる工事費削減のポイントをご紹介したいと思います。
事例(特定の協力会社のみと取引していたケース)
専門的な物販店を全国的に展開されている会社で、工事費削減の取組に大変驚いていただいた事例です。関東で長く取引をしていた施工会社に設計と施工を任せて、取組の対象となった店舗の改装工事でも設計から発注していました。設計と施工を分離することをお客様に合意いただいた上で、施工会社に設計の契約を別にして貰うようにしました。元々、設計料と併せて工事費の見積も出ていたのでその工事費を基準として、当社が工事費削減に取り組んだところ、50%弱も削減できあた結果となりました。そのため、お客様として「品質は大丈夫か?」や「担当者としては工事を任せて良いか不安」、「元々の金額の根拠は何だったのか」などお客様で色々と疑問が湧いてしまったようでした。その後は見積入札で上位の施工会社と面談にて提案を受け、工事品質も問題なことを確認してから発注をし無事に工事が完了しました。
この事例から学べる要因は3点あります。
設計と施工を分離する重要性
他のコラムでもお伝えしていますが、相当以上の予算を掛ける工事では設計と施工を分離することで工事費を適正にしていくことができます。設計施工一括で発注してしまうと、各社の提案を比較検証しようにも基準が揃っていないため内容や価格の妥当性が図れなくなってしまいます。また、設計施工一括の場合設計図書と工事内容がおざなりになってしまうケースもあります。この場合、工事が一旦完了した後に発注者がここを直して欲しいと言う事を伝えたとしても、「この様な設計をしたから、直すためには別途費用が掛かります。」と言われてしまうことがあります。その様な状態にしない為にも、設計を入れて細部まで図面を描き上げて、施工会社へ正確に指示が出来る環境を作り上げる必要があるでしょう。
情報不足
設計や工事の見積自体も特定1社にしか依頼をしていない状況では、その工事費が正しいかどうかを知ることは困難です。さらには、施工会社は工事経験の浅い発注者に対して情報格差を利用し利益率の高い金額で受注をしようと考えています。その点については発注者としても一考する必要があります。
比較検討をしないリスク
先入観で今まで長い付き合いがある会社だから一番良い条件を提示している、と考えている担当者様もいらっしゃるかもしれません。良い施工会社を探すことはご担当者様個人にとっても見識が広がることになり、強いては会社にもコスト的にメリットが享受されるはずです。そのため、様々な提案を受けることや業界内での情報交換、さらには外部のアドバイザー等を導入して業界や価格の変化を知る必要があるのではないでしょうか。
まとめ
知っていると知らないでは結果が大きく変わります。日頃から柔軟な姿勢で常に適正な工事を行うために情報収集するという視点で活動をしていれば、思わぬ所から良い情報が入って来るものです。