田辺 陽
マンションやビルは一定期間を過ぎると、建物の資産を維持するために修繕工事を行っていく必要があります。しかしながら、修繕を行う際にどれくらいの範囲でどのような内容で行えば良いのか判断するには、その分野の経験や見識が無いと難しいものです。
施工会社からの提案通りに修繕を行ったという建物を見ると、「その時点では必要のない過剰な範囲まで工事を行っていた」ということをよく目にします。適切な工事費用に収めていくということを考える時に、適正な工事範囲で工事内容を定めていくことは、修繕工事を行う上で重要なポイントとなるのです。
今回、東京世田谷区にご所有の建物の修繕工事でご支援をさせていただきました株式会社世田谷ヘルシービル湯川様に、工事の進め方やナックスを活用してどうであったか、などお伺いしました。
ナックス支援前の課題 |
・修繕工事の範囲をどこまで行えば良いのか分からなかった ・今回の工事規模で適正な修繕の施工会社を知らなかった ・見積もり取得後に、その見積もりが正しいかの判断をつけられなかった |
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ナックスを導入した目的 |
・最適な工事範囲を特定していくため ・実施する工事内容および工事費を適正化するため |
-まず世田谷ヘルシービルがどの様な経緯で建設されたのか教えていただけますでしょうか?
湯川様:
もともと祖父が世田谷区の第三庁舎があったところに土地を持っていて、そこに住んでいました。当時、区役所の移転の話などが出た際に、祖父が当時の区長さんに「世田谷区内にデイホームが無いから、区としてその様な施設運営をしたらどうか」と提案をしたそうなんです。
区としてもそれは良いとなり、私達がこの土地に移転する形でデイホームが運営可能な建物の建築を行うことになったと聞いています。なので、ビルの設計段階から区と一緒にどのような構造、中身にするかを作り上げた形ですね。
-そうだったのですね。ビルの運営上で、気を付けていることはありますか?
湯川様:
高齢者向けデイホームにはビルを新築した時から入居いただき、30年ほど運営いただいています。それをこれからも継続していただけるべく、利用される方々が安心安全で利用できることを念頭において、周辺の環境づくりをしています。
-今回、ナックスはビル外壁の修繕工事について、計画段階からご支援させていただきました。湯川様は今までに施工会社から見積を取得するなどの工事に関わる業務の経験はありましたか?
湯川様:
部分的な小さい修繕はちょこちょことありました。今回のような足場を組む必要がありそうな中規模以上のものはありませんでしたね。
-施工会社のお知り合いもいらっしゃったということですが、どの様な経緯でお知り合いになられたのですか?
湯川様:
地域の経営者コミュニティである法人会に私も所属していまして、そのつながりから施工会社の知り合いはいました。
-今回は金融機関様経由でご紹介をいただきましたが、どのような流れでお話に出ましたか?
湯川様:
ナックスさんを知ったのは、副支店長と担当の方と世間話をしていた時でしたね。
修繕を行う必要性を感じてから、まずは色々な人に工事について話を聞いてみました。それで、工事金額がこれくらいかかりそうかな、と把握はしていたんです。金額もそれなりにかかるようだったので、お金を借りてやらなきゃだめだな、と思いその流れで金融機関に相談したんです。
相談しているなかで、副支店長と担当の方からこんな会社ありますよとナックスさんを紹介いただきました。
-なるほど。ご紹介の金融機関様とはお付き合いは長いのですか?
湯川様:
私がこの会社を継いでから今9期目なので、10年くらいですかね。そこまで長いとは言えないかもしれませんが仲良くさせていただいています。何かことあるごとに相談はさせてもらっている存在です。
-今回、業務報酬という形でご支援させていただいたので、私共はコンサルティングフィーをいただく形で、工事のプランニングから発注までを担当させていただきました。ナックスのサービスは説明を聞いて、すぐにご理解いただけましたか?
湯川様:
内容自体は理解できていましたが、建設工事の領域では初めて聞くサービスでしたし、契約後にどう具体的に進んでいくのかなと、正直、半信半疑なところはありましたね(笑)
-コンサルティングというと身構えてしまうところもありますよね。その中でご契約をいただいたポイントはどの様な点からでしたか?
湯川様:
面談で説明を聞いていても、丁寧できめ細やかでした。業界的には工事の内容や相場というものが修繕工事に限らずブラックボックスになりがちだと思うんですよね。そのあたりを明確にしていっていただけそうなのも説明を聞いて感じました。
-そうですね。仰るとおりにブラックボックスになりがちです。今回、工事の進め方として、まず事前にビルの建物診断を行わせていただく。その内容から修繕が必要な箇所の洗い出しを行う。工事の内容の基準を作って相見積もりを取得する。取得した相見積もりを比較検証し適正な金額へと落とし込んでいく。という流れで対応させていただきました。
湯川様:
はい、進め方がしっかりと可視化された中で、必要な箇所に必要な金額をかけていくような動きをしていただけたのが非常に良かったです。建物診断をしていただいた後は、その報告書を提出いただきましたよね。内容も分かりやすく、ナックスさんとご面談する中で修繕箇所を自分でも確認できたので分かりやすかったです。
-ナックスや施工会社と契約するご判断するにあたり、他にあれば良かった情報などはありませんでしたか?
湯川様:
うーん、特にないですね。実績も工事規模が変われば変わると思いますし、サービス内容や進め方も説明の中で信頼できると思ったので、特には感じませんでした。
-建物診断の報告資料もお客様が意思決定自体もスムーズにできるように用意させていただきました。
湯川様:
はい、その資料を持って説明いただいたので意思決定もすぐにできました。ナックスさんにお願いする前は全面的に足場を組んで3千万円くらいはするかな、と思っていました。さらに、世間的に工事費が高騰していることは知っていたので、もっと高くなってしまうかもしれないと思っていました。
それが、必要な工事範囲にすることができたので工事費自体も税込で600万円程度に収めることができました。
さらに、将来的に発生する工事箇所がいつ頃に必要そうであるかも分かったので、その予算をどうしていくかを、今から前もって考えられるのも一つ重要なことだと感じています。
-今現在進めようとしている工事のことだけでなく、将来的に必要な工事についても考えられるようになったのですね。ナックスを活用しての満足度としてはいかがですか?
湯川様:
正直、工事金額が適切かどうかは私には分かりません。ただ、必要な箇所の洗い出しを行い、迷うことなく素早く判断ができたことは大きかったですね。ナックスさんのコンサルティングがなければ、もしかしたら時間を置いてまた考えようと工事自体を先延ばしにしていた可能性もありました。そういった点でも満足しています。
-ナックスのサービス提供中に何か困ったことやこうして欲しかったことなどはありませんでしたか?
湯川様:
特にありません。施工会社とのコミュニケーションでも困ったことは起こりませんでしたし、近隣住民への対応もやっていただきクレームは入ってもいないですしね。
-工事の見積もりは2社から取得しました。施工会社を選ぶときにはナックスから会社概要関係や工事の内容を説明させていただきました。
湯川様:
私は素人ですから見積もりを見ても、内容は分かりませんし比較することができません。ただ、見積もり金額だけを見れば、高い見積もりと安い見積もりがあるのでこの違いは何なのかは疑問には思います。金額だけ見て安い方を選んで、工事品質が悪くなるのも嫌ですが、どう判断すれば良いかは分かりません。
そのあたりをナックスさんから2社とも工事内容が異なる点は無く、同一条件の見積もりであることを説明いただけたので、安心して金額が安い方の施工会社を選ぶことができました。
そして、不思議なもので同じ見積もり内容なのに、見積に使われている工事内容の文言や構成が違うんですよね。素人目には工事内容自体が違うのではないかと思ってしまうくらいです。正しい知識や見識を持った人に情報を整理していただけたので契約するまでスムーズに進めることができました。
-見積もりの作り方も施工会社各社で違いますし、内容をしっかり分かっていなければ比較するのは難しいものですよね。最後に御社のこれからの展望などお聞かせいただけますでしょうか?
湯川様:
ゆくゆくは不動産業として手を広げていきたいと思っています。不動産の出会いもタイミングだと思うのでどう動くか明確な答えがあるわけではないのですが、社会的情勢も色々と変化が急ですので、現状をキープすること自体も難しい昨今です。不測な事態に備えて今は準備しているところですね。
-本日はお忙しい中、ありがとうございました。
取材日:2024年11月某日