田辺 陽
ひとえにコスト削減を行なうと言っても、その実行には強い意志が必要です。コストを削減するということは、これまでの業務の中で培ってきた業界に対する認識や知識・経験を疑い、取引してきた会社ともドライに割り切るなど非常に地道な積み重ねや対応が必要です。このような小さな積み重ねを行うことでようやく「コスト削減」という成果を出せるようになります。とりわけ工事費をコスト削減するとなった場合には、発注期限も考慮した上での対応が必要となります。そこで、工事のコスト削減をする際に重視すべき心構えを今回は3つご紹介したいと思います。
コスト削減全般に言える事ですが、始めるきっかけは「他に良いもの・安いものがあるかもしれない」というもので、知らなかったことをどこかで知ったがために思い立つものだと考えます。今まで経験してきたことや業界の常識ではなく、何か工夫を行おうとして情報収集を行なうとそれに繋がるヒントが出てくるものです。さらに、それを紐解き考察を重ねることで自社に有益な情報にたどり着くこともあるでしょう。
例えば、「何か商品を購入する場合、人が多くそこに間にはいれば、人件費や管理コストが発生するため、なるべくメーカーに近い会社と取引が出来る様にする」、「対象とする業務に強みを持っている会社がノウハウを持っており効率も良さそうだから工事費も安価に済ませる方法を知っているであろう」、「品質を維持する為には大手とも取引実績がある会社であれば安心できる」など、このような原理原則の見方を基本とし、考えていただけたらと思います。
工事は、物件契約や工事開始時期があるため、いつまでに工事発注を行う必要があるという時間的な制約があります。そのため、工事発注前にコスト削減に関する対応も行わなければならないことになります。工事の計画が始まった段階でコスト削減に関する業務を一緒に全体設計を組み込み、社内関係者や提案依頼先・見積依頼先を含めた全体管理をする必要となります。いつどんな時に起こっても慌てないで済む様に日頃から準備をしていただけたらと思います。
様々な施工会社から色々な提案を受けて、比較検討をする際にはどうしても迷う事も多く起こります。それぞれの提案に良い所があるが、発注する先は1社に決める必要があります。定量的な評価を終えた上で「どっちの会社にするかを判断出来ない。」という最終段階の中で最後に検討をすべきは「人」です。施工会社の代表者の理念や営業担当者の熱心さ・現場責任者の誠実さ等を見る様にし、それが結局は人の手を使って作り上げる現場にも反映されます。そのため、選定過程においては施工会社ともしっかりとコミュニケーションを取ることをお勧めします。
コスト削減する場合、実作業は大変な事もあると思います。ただ、イニシャルコストを圧縮する事が出来れば、投資回収までの期間を短くする事が出来る経営上のメリットを享受出来ます。金額が大きくなる工事費については僅か数%であっても削減額は大きな金額になります。工事に見合った適切な施工会社を見つけ出すことがコスト削減の一番の狙いになります。ぜひ前向きに捉えて是非ともチャレンジをしていく事をお勧めいたします。