田辺 陽
オフィス移転業務を進めていく上で発生する業務は、移転先の内装デザインや入居しているオフィスの原状回復工事等の大きな内容から、営業部など関係各所とのプロジェクト組成からスケジュール管理などがあると思います。細かいところでいえば、コピー機など備品の移動や資料の梱包など日常の業務と並行しながら管理・進行しなければならないため担当者の業務負担は相当となるでしょう。そのため、移転前にどれだけ段取りや準備できるかがオフィス移転業務成功の大きなポイントになります。
移転先の内装工事に関してデザインと設計を行ない、図面を描き上げる業務に掛かる費用です。どこの会社にするかは自由裁量で決定が出来ます。事務所により考え方や特色、得意領域が違いますので、色々と提案を受けた上で、決定する様にして下さい。また、この設計の内容によって内装工事の施工金額にも大きく影響を及ぼしますので、事務所の選定及びデザインの内容は十分に検討をした上でご判断下さい。
入居先の賃貸部分で発生する工事費用です。オフィス移転に掛かる費用の中で一番金額が高くなる業務の一つでもあります。設計の内容により金額が変わりますが、ビル側の工事区分の指定でも金額が変わる要素でもあります。専門的な用語にはなりますが、B工事とC工事の区分は事前に確認を行ないましょう。B工事の範囲を極力少なく出来る様に交渉をできれば、工事費を低減させることができます。
デスクや椅子・ロッカー等のオフィス内で利用する家具を購入する費用です。オフィス移転の際は全てを新しく購入したり、既存のオフィス什器を持って行き不足分を購入する等、どうするかはケースバイケースです。最近では、販売会社だけでなくメーカーが直販している事も多いです。メーカーによっては販売会社から話しが上がったタイミングで商流が決まってしまう事もあります。後々に別ルートの方が安いことが判明しても商流は変えられない場合もありますので、見積を依頼する際には気をつけなければいけない品目でもあります。
現オフィスから入居先への引越に必要な費用です。什器や備品・書類・PC等の移動で比較的自由に発注先を選ぶ事が出来ます。時期や引っ越し量により価格が大きく変わります。各社が値上げしている時期は必ずしも一致している訳ではないため、やはり複数の見積の依頼をした方がよいでしょう。
原状回復工事とは、退去後の内装を借りた時の状態に戻すために必要な工事です。ビル側との契約内容により工事する範囲や施工する会社の指定等が決まっている場合が多いです。ビル側の指定が厳しい場合には交渉や方法によって費用の削減が一番見出せますので、条件交渉等をすると良い品目の一つです。
大きくはこの5つの業務内容がどうなるか明確にし、効率的・効果的にスケジュールを組むことが重要です。移転に必要な費用もこの5つの項目で8割以上を占めていると言っても過言ではありません。すなわちこの5つの項目をしっかりとコスト管理する事が出来れば、移転全体の費用を管理出来たと同様です。各取引先との交渉期間も考慮した上で計画的に取組まれる事をお勧めします。