事例から学ぶ工事費削減の成功ポイントVol.1(小売業:50%のコスト削減事例)

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田辺 陽

B!

当社が過去800件以上の工事発注のコンサルティングにお取り組みさせていただき、様々な事例がありました。それらの事例から学べる工事費削減のポイントをご紹介したいと思います。

事例(小売業:50%のコスト削減事例)

今回ご紹介するのは、物販店を多店舗展開しているチェーン店の事例です。この企業は、年間で数十店舗規模で出店しており、社内に店舗開発の専門部署がありました。また、その部署内に出店コスト等を管理する担当者も配置されていました。当社が工事費見直しの取組を提案したところ、工事の専任担当者の方は「これまでに多くの店舗を出店してきて、自社のスピード感・コスト水準に対応できる会社は唯一1社しかいなかった。」と仰っしゃり、当社サービス導入に懸念を示されていました。
しかし、その後同社の取締役と協議を行った結果、同じ部署の違う担当者の方とナックスの取組を進めていくと決定がされました。そして、出店する実際の店舗でコンサルティングを実施したところ、工事費坪単価を当初の約50%も削減することができました。実に今までの行ってきた工事の半分の単価を実現することができたのです。
さらに、施工会社の規模自体も唯一1社と指定されていた企業と同等以上の売上がある内装工事会社でその様な結果が出ました。この結果を取締役へ報告すると、内容に大変驚かれ、その後は全面的に発注体制の見直しを図ることとなりました。

この事例から学べる点は主に4点あります。

 事例から学べる4つのポイント


立場による意識のギャップの解消

経営層と担当者との意識、視点の違いは大きくあります。経営を行なう上で売上やコスト管理は非常に重要な要素であり、経営層はこの点を重要視されていることでしょう。しかし、担当者としては業務効率や業者との有効な関係性を重視することが多いでしょう。この目に見えないギャップが工事費用というコストに上乗せされていることがあります。



既成概念の打破

「これ以上は下げられない。」「一番安くしている。」「これ以上に良い施工会社はいない。」等の既成概念があると、取組としては上手く行かないことが多くなってしまいます。柔軟な姿勢で様々な情報を得た上で、最良な経営判断することが適切な工事を進めるための第一歩です。



情報収集の努力

業界の動向や単価の相場観・施工会社の情報は労力をかければ入手することが出来ます。一番最適な工事の計画を立てるためには、多くの情報を取得しその中から必要な情報を抽出して計画に組み込んでいくことは当然のことと思います。ただし、適切な量、質、タイミングで情報を入手するには工数、スキル、経験など様々な要素が必要とされます。

 

過去を顧みない積極性

コスト削減の取組を推進するためには経営層の意識改革が必要です。工事担当者の立場からすると、削減が出てしまうと「今まで何をやっていたんだ。」と評価が下がってしまうのではないかと考えてしまいます。これが、前向きに取組めない社内環境になっている場合があります。工事費用に関わらずコスト削減を積極的に推進していくには、過去は過去として、削減の取組によって創出されたプラスの評価ができると、結果として会社にもプラスの影響が出やすいのです。


まとめ

コスト削減の取組がなかなか進まない原因を見てみると、上記のように一つの原因をとってみても様々な要素が重なり合っている、ということがあります。経営層はその原因を一つずつ紐解き、前向きに取組める環境を社内に創り出してあげる必要があります。そうすることで、本来の目的であるコストの見直しが推進されていくことでしょう。

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