物件退去の際に発生する原状回復工事の4つのポイント
2017年の衆参議院で可決された民法改正において、「賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化」「敷金に関するルールの明確化」など原状回復工事のルールが見直されました。これは1896年以降、大幅な改正がなかった民法においては、120年ぶりの大改正でした。ただし、この法改正の対象は主にアパートやマンションなどの居住用賃貸です。主に企業が契約を行う商業施設、オフィスビルなどの賃貸借契約書内には賃貸人側の負担において原状回復するように、明文化されていることがほとんどです。
そこで、今回は商業施設やオフィスビルの退去の際に発生する「原状回復工事」の4つのポイントをご紹介いたします。
原状回復工事を計画する時に役立つチェックリスト
無料ダウンロード
原状回復工事を計画するために気を付けておくべくことをまとめたチェックリストを無料でダウンロードいただけます。適切に工事を進めるためのポイントが記載されていますのでぜひ活用ください。
原状回復工事(退去時の工事)はほぼ全てがB工事
まず、商業施設やオフィスビルの賃貸借契約書には下記のような主旨の文言が記載されている事が多くあります。
「本契約の終了に際し、賃借人は賃借人が実施した設備・機器・造作・間仕切・建具・物品等を賃借人の負担において撤去し、補修を要する部分を修繕したうえで、貸室を本契約終了の期日までにすべて原状に回復のうえ明け渡して返還しなければならない。原状回復に要する工事は、賃貸人または賃貸人の指定するものがこれを行い、その費用は賃借人が負担するものとする。」
ここに書かれている「賃貸人側の指定業者にて施工・工事を行い、賃借人(テナント側)が費用を支払う工事」のことをB工事と言います。賃貸人の指定業者は相見積もりなどの競争環境にさらされないため、競争原理が働かず高額な見積を行うことが多く見られます。特にスーパーゼネコンが指定業者となる場合には、相場よりも乖離した見積もりになる傾向があります。退去に伴う原状回復工事はB工事となることが多いため、制約のある工事となり何もしないと価格も高額となる工事なのです。
工事業者は賃貸人指定のゼネコンの場合もある
今まで当社が支援させていただいた中においても、ある程度の規模が大きい商業施設やオフィスビルの原状回復工事の場合、スーパーゼネコンをはじめ大手ゼネコンが見積もりを提出している事が多くありました。もしくは大手不動産ディベロッパーやその子会社が見積もりを行い、その傘下であるスーパーゼネコンが施工を行うような構図になっているケースもあります。
例えば、ビルを新築した場合だとゼネコンがその後の施設内の工事を請け負う事が多いため、規模の大きなビルになればなるほど大手・スーパーゼネコンが原状回復工事の指定業者として登場してきます。一般の方々が工事費の交渉をしようとした時に、大手・スーパーゼネコンが交渉相手となると交渉難易度が高いと感じ、諦めてしまう方も多くいるのではないでしょうか。
見積もり金額が高額であることはほぼ間違いがない
賃借人が入札をして競争原理がある中での工事費と比べてB工事指定の場合、ゼネコンが提出する工事費はその2〜3倍もの価格であることもよくあります。当社の事例においても、B工事を仮にテナント側で指定した施工会社で発注ができた場合には、工事金額が3分の1になることもありました。出店を考える場合においては、退店時の工事のことも考える必要があります。なぜなら、前述したように入居時に工事費が割安で出来たとしても、退去する際の原状回復工事に多額の費用が掛かる可能性があるからです。
原状回復工事(B工事)であっても、価格交渉・減額することは可能
上記を踏まえると、いざ原状回復工事を行おうとした時に「指定業者が切り替えられない」、「1社独占で工事発注が確約されているのでどうしようもない」という様に思われるかもしれません。しかし、価格交渉を行い、工事費を低減させることは多くの場合で可能です。
工事内容や賃貸人との関係性にもよりますが、「見積内容を見直して価格交渉自体を行う」、「工事区分の交渉を行う」、「査定会社を利用する」など交渉手段はいくつもあります。ただ、原状回復工事を完了するまでの時間があまり無いということになると、削減方法の幅・実施できるスキームは少なくなります。そのため、撤退・退去を決めた際には早めに計画を練り、どの様なスケジュールで進めていくか確認していくことをおすすめいたします。
平均削減率23%:初期費用無し完全成功報酬型
原状回復工事費削減サービス
原状回復工事において取得した見積金額が高額であることは、ほぼ間違いありません。 ナックスは原状回復工事を数多くご支援し、平均で23%の工事費削減を実現してまいりました。