必見!工事費を適正化するために必要な6つのポイント
近年、建築業界は職人の減少や建材費の高騰、再開発による大型施設の建築及びインフラ整備などの工事需要の高まりから多忙を極めています。
そのため、建設費は高騰しており、工事の伴う事業では計画と実際にかかるコスト差が蓋を開けてみると大きく、計画が進められない等の課題に直面しているケースもあります。
本コラムでは工事費を適正化していくために必要な6つのポイントをお伝えしたいと思います。
このポイントを押さえれば、工事費の適正化・削減は可能になります。
建設業界は専門的な用語が飛び交う業界のため、工事の計画を適正にしていく取り組みを敬遠してしまう経営者様やご担当者様も多いようです。
しかし、例えば飲食店を開業するとした場合、イニシャルコストの多くを占める工事費を20%低減できるとなれば、投資回収期間や事業計画自体に与えるPLインパクトは大きいのは誰の目にも明らかです。
当社の過去実績の中には、最初に取得した見積金額から50%も工事費削減ができたお客様もいらっしゃいました。
ぜひ下記に記載する6つのポイントを押さえていただき、適正な工事発注につなげていただければと思います。
適切な会社に見積を依頼する
最初に挙げるこのポイントが、工事を適正価格で発注するにあたって最も重要であると言えるでしょう。
多くの業界でも同様のことが言えますが、実務や製品を提供している会社(メーカー)と発注をするエンドユーザー(発注者)との間に、どれだけの会社が商流に介在しているかが、エンドユーザーの購入価格に影響を与えます。沢山の会社が介在してしまうと、当然ながら中間マージンがその分発生し、購入価格は上昇します。
特に建築業界は古くからの慣習で、工事を行う実際の会社との間に複数社が介在しているケースが多いです。
この様な状態を「重層下請構造」と言い、孫請け・ひ孫請けという言葉があるほどです。一方で分業化が進んでいる業界でもあるため、各専門の工事会社をまとめる現場管理を行う会社は必要となります。問題は現場を管理する会社と発注者との間に、営業だけする営業会社や業務を横流しするだけの施工会社などが介在していることです(※)
実際には、発注者の許可を得ずに一括下請負を行っている施工会社や工事の一部(例えば、足場工事のみ)を分離して、あとは一社に全て任せてしまっているようなケースもあるようです。この様な会社があると中間マージンが発生しており、工事費が相場より高くなる傾向にあると言えます。
※建設業法第22条では「一括下請負の禁止」という形で禁止をしていますが、抜本的な解決ができていないのが現状です。
以上のことから、「空調工事を行う場合には空調設備を得意とする施工会社に相談する」、「衛生設備工事のことは給排水設備の施工会社に話を聞いてみる」というように、発注者自らが計画している工事内容に則した施工会社・専門業者を探し、なるべく直接依頼すると良いでしょう。
それでは、何を基準にして適切な会社であるかを判断すると良いのか、適切な会社であることを判断するための基準を3つお伝えします。
適切な会社であるか判断する3つの基準
1)工事の内容・工種が合っていること
先にお伝えした通り、施工会社によって得意とする工事種類は異なります。中には「解体工事専門」、「電気工事専門」という風に専門に行う会社があるほどです。そのため、まず発注者として必要なことは、自分たちが計画している工事のメインとなる工事種類が何なのかを把握することです。
進めようとしている工事は内装工事なのか空調工事なのか、はたまた防水工事なのかを把握しましょう。工事の内容に合った施工会社に依頼ができれば、価格的にも品質的にも後々メリットを感じられるようになります。
2)計画している工事の場所と施工会社の地域が合っていること
工事の場所と施工会社がある地域が遠くなってしまうと、物流や人工にかかる費用が高くなる可能性があります。このことから、工事の場所と施工会社のあるエリアも施工会社選定の基準の一つにするようにしましょう。
施工会社の中には、全国対応可能と謳っている施工会社も多いです。しかし、これは実際にはそのエリアに支店が無くとも、協力会社や同業者間での横の繋がり等から施工が可能であると謳っているケースもあるので注意が必要です。この場合、商流に横流しの会社が介在し、中間マージンが発生していることになります。
中間マージンが発生しないようにするためには、施工会社の本社・営業拠点から対応出来ることが必須の条件となります。あくまで目安となりますが、工事を計画している場所と依頼する施工会社の拠点が約1時間30分内であると、価格面・対応面で問題がないと言えるでしょう。
3)工事の規模と施工会社の事業規模が合っていること
大手の企業になれば安全管理や販管費などの単価は高くなり、それが工事の見積金額に反映されます。反対に小さい施工会社の場合はそれらの単価が低くなる傾向にあり、見積価格は安価になりやすいです。
しかし、工事金額だけを基準として小さい施工会社を選択するのではなく、計画している工事規模に適合する事業規模の施工会社であるかどうかを考えなければいけません。工事に関連する作業量やそれに伴う品質管理や現場での対応等を考慮して、会社規模を考える必要があるのです。
例えば、メーカー製品が中心となる工事の場合は売上があまりに小さい施工会社では、製品の仕入れにボリュームディスカウントが効きにくいため、価格的に不利になることが考えられます。反対に、工事規模が大きくないのにゼネコンなどの大手に相談すると、工事単価が高かったり中間マージンが発生していたりする可能性があります。目安としては計画をしている工事のおおよそ20〜200倍程度の間にある売上の施工会社で検討をしてみると良いでしょう。
工事内容の明確化と資料作りを行う
工事内容・工事範囲を盛り込んだ図面をしっかりと作り込む事で見積の精度が向上し、結果として適正な工事見積もりを獲得することできます。
ある程度、規模感のある工事、様々な工種が関わる工事については、図面の精度が見積金額を左右する大きな要素となります。見積は図面を基に使用する部材の種類と数量、必要となる作業人員の想定、作業日数の算定をして作り上げています。
そのため、図面上でどれだけ明確にかつ詳細に工事内容と工事範囲を明記できるかで見積精度に影響するのです。見積を行う側も、不明瞭な点がある場合には「何かあった時に対応できるようにしよう」と見積金額に上乗せしようとします。曖昧な内容を無くすことが結果として、工事費を低減させていくことに繋がるのです。
この考えは、設計事務所・施工会社からすると当然だろうと思われることかもしれません。しかし、多くの発注者に工事に関する知識や見識があるわけではないので、図面を正確に作り上げていくことは難しい作業です。
それでは、工事内容を明確にし、資料を作り込んでいくために必要となる視点を3点お伝えさせていただきます。
工事内容を明確にし、資料を作り込んでいくために必要なこと3点
1)基本設計段階で入念に確認する
図面は着工前の段階で、「基本設計」と「実施設計」と呼ばれる2種類の設計を行います。まず「基本設計」とは、計画している工事の内容と工事場所の諸条件(敷地や立地条件、改修現場の状況など)を調査し、建築基準法の関係法令・条例等と照らし合わせ、平面、立面などの基本的な計画を図面上で作成することを言います。
もう一つの「実施設計」は、発注者としての意見・考え方が反映された基本設計を基に実際に工事に着工できるようにするための図面のことを指します。実施設計の中には意匠図、構造設計図、設備設計図、建築関係諸手続き書類などが含まれています。
計画の大元となる基本設計は、事業計画や発注者の要望が具体的に反映される重要な過程となるため、十分に時間を掛け発注者および設計者が納得できるまで打合せを重ねることが重要となります。
2)意匠図だけでなく、設備図や構造図も用意をする
当社が支援をしてきたお客様で取得した見積金額が高額だった方を見ると、図面は意匠図(配置図、平面図、屋根伏図(やねふせず)、立面図、断面図、展開図などのことを言います)のみしか準備されていなかったというケースが多くありました。
例えば、改修工事においては空調や換気設備などが工事の中でも価格的に高額になります。意匠図だけでは工事費を見積もる場合に、内容が不明瞭なことが多いため、何かあった時に対応できるよう割高な金額となることが想定されます。
そのため、意匠図だけでなく設備図(必要があれば構造図)もしっかりと作図してもらう方が良いでしょう。どうしても設備図を用意ができない場合は、手元にある既存設備の図面を用意するだけでも積算に良い影響を与えることができます。
3)図面内でのメーカー指定は極力無くし、同等品とする
施工会社やその協力会社がいつも仕入れているメーカーの製品は、得意先であることから卸値が安くなっていることがあります。図面でメーカーを指定した際に、施工会社が仕入れているメーカー品と合致すれば良いですが、合致しない場合は該当製品の仕入れ値が高くなり、必然的に見積額が高くなってしまいます。
そのため、設計事務所にはこの主旨を理解いただき、よほどのこだわりがある場合を除きメーカーの指定はせず、同等の性能やデザインの提案製品の採否に協力いただくと良いでしょう。
以上の上記の3つの視点を基本とし、デザインやゾーニング、動線計画、オペーレーションが総合的に良いものとなる様に図面作成していただくことをお勧めいたします。
発注条件の明確化と資料作りを行う
発注条件が不透明であると、工事を受ける施工会社はリスクを感じます。ひいてはそのリスクは保険などにも連動するため、最終的には工事金額に影響を及ぼすことがあります。発注条件を明確にして施工会社側のリスクを引き下げてあげることで、各費用が押さえられるようになります。
それでは、発注条件を明確にする資料とは何でしょうか。一般的には「工事仕様書」と呼ばれる図面以外の情報を記載した書面のことを言います。
この書面を作成・準備する意義としては、図面だけでは言い表せない定性的な点を書面と言う形で定量的に表記するところにあります。
それでは、どの様な項目がありどの様な内容を記載をするか、代表的なものをご紹介させていただきます。
工事仕様書で明確にすべき12の条件
1)工事概要
工事名称や発注者、工事の目的、建物の構造、施工期間、作業可能時間等を明記します。
2)適用法令
工事に関わる建設業法、建築基準法、労働基準法、労働安全衛生法、消防法、その他の関係法令、規制、条例等の指定を明記します。
3)設計変更・数量変更
設計内容(図面)が変更した場合の金額の承認方法等を明記します。
4)提出資料
見積書提出時に併せて受領したい資料の指定を明記します。
5)加入している保険
施工会社が加入している保険内容を把握するため、保険証書を受領したい旨を明記します。
6)近隣対策
発注を行なう施工会社に対して、着工前の近隣への挨拶等の指定を明記します。
7)現場代理人の指定
工事品質の善し悪しはこの現場代理人によって、大きく左右されます。そのため、保有資格や実務経験年数等の指定を明記します。
8)瑕疵担保期間
依頼する工事の中で、1年を越えて保証を必要とする工事項目について項目・保証内容・保障期間を明記します。
9)工事検査
工事期間中や引渡前の検査について、頻度や方法等を明記します。
10)支払条件
着手金や中間金、竣工時の清算割合や締め支払日、支払方法等を明記します。
11)契約書の指定
代表的な書式の指定や施工会社側の書式等、使用する契約書の指定を明記します。
12)竣工図書の指定
工事が終わった後に施工会社から提出してもらう書面(施工図や工事写真・製品保証書・品質保証書など)の指定を明記します。
条件の解釈に齟齬があると、後日のトラブルの元になります。トラブルを起こさず工事を進めるためにも、計画している工事に対して上記のような項目が記載された工事仕様書を準備されることをお勧めいたします。
専門の施工会社を探す
このパートでは、どうしたら実績ある専門の施工会社を探せるかのポイントについてお伝えします。
「適切な施工会社に見積を依頼する」のパートでも記載をしましたが、発注者と施工会社の間に入る営業会社を省き、専門の施工会社に直接発注することができれば、中間マージン分の費用が削減できます。
また、専門の施工会社も元請会社からの無理なコスト要請が無くなり、適正価格で請負ができるようになります。そのため、施工会社は粗利を確保するために作業員を実際は少なくするなど手抜きをすることもしなくなるので、品質自体もより良いものが出来るようになるのです。
ただ、工事の内容ごとに適した施工会社を知らない、ということも多々あるかと思います。専門の施工会社を探す方法をいくつかご紹介いたします。
専門の施工会社を探す4つの方法
1)知り合いの施工会社からの紹介
知り合いに施工会社がいれば連絡を取り、工事の内容を伝えた上で得意で対応可能かどうかをヒアリングしてみて下さい。
回答が対応可能であれば見積の依頼を行ない、対応不可であればその専門の会社を知らないかを尋ねてみると良いでしょう。建設業界は横の繋がりを大切にする業界のため、意外と有益な情報を教えてもらえることがあります。
2)業界団体・専門協会の会員検索
建築業界においても分野ごとに業界団体や協会が数多く存在しています。計画している工事に沿う業界団体や協会があった場合には、その会員企業が高確率で専門的に特化している会社である場合が多いです。
業界団体を通じて、会社を調べて直接コンタクトを取ってみるのも一つの手法となります。
3)専門誌編集担当者への問合せ
建築業界には地域や専門分野に特化した新聞や業界紙などの媒体を発行している出版関係の会社があります。その会社へ直接、連絡を取り、記者や編集担当者に工事内容を説明し、お勧めの会社を聞いてみてください。
その様な紹介を通じて見積依頼だけであっても案件に繋がると、施工会社のその雑誌や記者、編集者の株も上げることになるので、協力的になってくれる場合があります。
4)シンクタンクでの調査
シンクタンクの情報ソースを活用する事で、机上で施工会社を見つけることができ短時間で効率よく見つけられる可能性があります。探す際には工種・地域性・企業規模を考慮する事と共に、過去の実績をしっかりと見て、判断をする必要があるでしょう。
上記で候補にあがった企業については、ホームページで会社概要や施工する工事内容・過去実績・企業理念等を確認するようにしましょう。
注意すべき検索方法
「無料で一括で相見積を取得出来ます。」と謳っている見積一括サービスやポータルサイトはそこに登録している施工会社と運営会社で特定の契約がされていることがあります。
そのサービスで発注が決まると、結局は発注者側の工事費にサービス利用分の金額がプラスアルファで上乗せされているため、ご利用の際にはご注意下さい。
まとめ
基本的にはお伝えした順に探していただければ、専門の施工会社とコンタクトが取れるでしょう。しかし、次に重要なのは工事内容をしっかりと定めて、適正な見積提案を受領できるよう整えていくことです。
また、候補に上がった施工会社は会社の資産として考え、自社でリスト化するなど今後に活用できるようにすると良いでしょう。
現地確認と質疑応答の対応を行う
施工会社に現地の状況を把握してもらい、質疑応答をしっかりと対応できると、不明な箇所が明確になるので、見積内容や金額の精度を向上させることができます。内容に不明な箇所があると、施工会社も曖昧な状態で金額を提出させざるを得なくなります。
更地からの新築工事の際は、当てはまらない場合がありますが、基本的に見積を依頼する際には工事を計画している現場へ施工会社に来てもらい確認してもらう「現地調査」が必要となります。現地確認をすることで、施工会社は状況の把握を行い、図面と自らの経験から見積項目・見積数量を試算することができます。
現地と図面を照らし合わすと、一致しない箇所が出てくることもあり、施工会社がその点を質問してきます。その質問に対してしっかりと回答を行なうことで、図面だけでは不足していた情報が補完され、見積の精度を上げることができるのです。設計図書の中でも最も情報の信憑性として優先順位が高いものが、この質疑回答書になります。
現地確認と質疑応答を行なう際の注意点は下記の通りです。
現地確認と質疑応答を行なう際の5つの注意点
1)現地確認の依頼をするまでに物件概要と施工時期・支払条件を伝える
見積を依頼する施工会社には現地確認を依頼する時までに、必ず物件概要や施工時期・支払条件などを伝えるようにして下さい。
施工会社としても自社の強みが発揮できる工事であるかを確認し、物件概要や工事内容から案件の規模感を把握します。自社人員の確保を繁忙期・閑散期等の総合的な観点から見積対応するかしないかを判断するためです。
2)事前に工事内容を伝え、協力会社の参加も可能にする
現地確認の依頼時には、計画している工事内容を明確に伝えて下さい。受注した際に、工事の内容によって協力会社(外注先)の会社が変わってくるためです。事前に工事内容が分かれば現地確認時に協力会社同行の上で現地確認させる事ができます。
すなわち、協力会社の選定も見積内容や金額に影響が出る要素になるのです。協力会社にも現場の把握を正確に行ってもらうことで、見積の精度及びスピード感も向上させられるのです。
3)現地確認は数回に分けて実施する
相見積もりを行って複数社に現地確認してもらう場合には、確認時間をずらす等して見積候補会社がバッティングしないように配慮するようにしましょう。特に郊外や地方の場合は、施工会社の数自体が少ないため営業エリアが重複している可能性があります。
営業担当者同士が顔なじみという事があると、口裏合わせの様なものに発展してしまうことが少なからずあります。その様な行為が行なわれないよう正しい形で見積をもらえるよう、複数回に分けて実施して下さい。
4)現地の質問事項はその場で回答せずに、書面でやり取りとする
現地確認をしている最中に、施工会社から質問が上がって来ることはしばしばあります。1社のみに見積依頼しているだけであれば、その場で回答をしてもさほど問題はありません。
複数社に見積を依頼している場合は書面での回答を行なう様にしましょう。理由としては、その場で思いついた回答をしてしまうと正確性を損なう可能性があるからです。設計図書の中でも優先順位の高い質疑回答書に質問と回答を記載して、後から振り返られるようにしましょう。
5)質疑回答は全社に同一内容で回答する
回答をする際ですが、複数社へ見積を依頼している場合は、全社に対して同一の質疑回答書面を送る様にしましょう。
質問の回答が有り無しにより、施工会社間で情報の格差が生じてしまいます。そうすると、見積や提案の違いが出てきてしまい、各社見積もりの比較検討が出来なくなるため注意が必要です。
施工会社への配慮や見積作成にあたり不明瞭な点を質疑回答という形で対応をすると、発注者にとって見積価格が正確になるメリットが生じます。また、図面作成を設計事務所に依頼をすると、現地確認会での工事内容と範囲の説明や質疑回答に協力してもらえるようになります。
見積と提案回収と品質のチェック
ここまでくると、見積条件獲得の最終段階であり、これまで対応してきた事が成果として表れます。もうひと踏ん張りです。見積書は各社から受け付ける事となりますが、この時に単に提示された価格だけで最終判断を行わないようにしてください。
工事というものは、完了しなければ仕上がりが分からない業務委託の最たるものです。そのため、見積書とその提案を検証し総合的に良し悪しを確認し、品質の担保がなされるかを発注者として判断をする必要があります。
では、どの様な点をチェックすれば良いか基本的な視点を下記に明記します。
見積提案で確認すべき3つの項目
1)過去の施工実績
見積もり依頼している施工会社の施工実績を一覧で提出してもらうと良いでしょう。さらに、あなたが計画している工事と類似した工事や同等規模の金額の工事を年間に何件やっているかを施工会社に確認して下さい。
また、その施工会社が法人相手に工事をしている会社であれば、同一の企業から継続的に複数回の受注があるか確認するもの良いでしょう。同一の企業から複数回の受注がある場合はその発注者が品質に満足して、継続的に見積依頼・工事発注をしている証であるからです。
2)現場代理人(現場の責任者)の経歴
現場代理人の管理形態が「常駐管理」なのか「巡回管理」なのか確認するようにしましょう。
「常駐管理」とは現場代理人が工事期間中は作業がある日は毎日作業開始〜作業終了まで現場に居て施工管理をすることを言います。「巡回管理」は現場代理人が工事期間中に適宜現場にて立ち寄って作業員や職人に指示出しする施工管理のことです。
発注する工事の金額や内容、規模によって管理形態をどうするかはおおよそ決まります。しかし、大事なことはこの現場代理人をどの様な人が選任されるかです。基本的には経歴書により保有資格や実務経験年数、過去管理した物件の規模などを確認し判断を行ないます。細かな点まで確認したい場合には、現場代理人予定者と面談を行ない、その中で質疑応答やどういった考えを持った方なのかを判断することも一つでしょう。
3)計画書から読み取る案件の理解力
計画書とは提案書の代わりになる書類のことを言います。見積を依頼した工事の内容をどれだけ理解して、注意深く計画をしているのか資料から判断します。
種類としては工程表や施工計画書、安全管理資料等があり、確認すべき点は多々あります。見積を取得し書類や面談により施工会社の評価を終え、ようやく工事の発注先が決まって条件獲得が完了します。
まとめ
以上、6つのポイントを押さえて計画を立てて進めていくことができれば、適切な施工会社へ適正価格で発注する第一歩となります。
これらの視点を積み重ねていくことで、品質も担保された工事発注へとつなげることができるのです。逆に、安易に工事費を削減しようとすると品質悪化のリスクが格段に上がります。あくまでも「適切な施工会社へ適正な価格で発注すること」を前提として考え、コストの適正化に取り組むことをお勧めいたします。
是非とも、工事の発注を行なう際に上記の様なポイントを1つでも多く実践いただき、価値ある工事を実現いただければと思います。
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